みなさん、こんにちは!Keisukeです!!
今回は竹取物語 蓬萊の玉の枝についてです!
蓬萊の玉の枝、なかなか長いので、前半と後半の2回に分けて説明しますね!
もくじ/Table of Contents
竹取物語 蓬萊の玉の枝 前編 動画紹介
講義動画もありますので、よかったら活用してください!
本文解説(約21分)
復習&テスト直前確認用(約12分)
暗記テスト用(約47分)
竹取物語 蓬萊の玉の枝 前編 本文解説
竹取物語原文
これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
では、1文ずつ、順番に見ていきましょう!
1文目:これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
1文目、めっちゃ長いんですよ。笑
短く区切って、読んでいきますね!
まずは、これやわが求むる山ならむと思ひてのむ。
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルールの6つ目。
歴史的仮名遣いこれやわが求むる山ならむのむは、助詞の『む』です。
ですので、このむを現代仮名遣いに直すときは、これやわが求むる山ならんのようにんとします。
続けて、と思ひての思ひては、現代仮名遣いに直すとどうなるか覚えていますか?
竹取物語の冒頭で、 単語の最初にない『はひふへほ』は、『わいうえお』と読む というルールを学びましたね!
なので、現代仮名遣いに直すと、思ひてのひは、いに直して思いてです。
思ひての現代語訳は、ほぼそのまんま、思ってです。
誰が何と思ったのかというと、くらもちの皇子がこれやわが求むる山ならむ、これが私の探している山だろうかと思ったのです。
では、これやわが求むる山ならむのやについて説明します。
やは、助詞のなかでも係助詞というやつです。
とりあえず、「やは係助詞なんや」と覚えてください。笑
助詞については、今は知らなくて大丈夫です。
『現代語の助詞』は中学校3年生で、『古文の助詞』は高校でたっぷり勉強しますので、安心してください!笑
ここで、係助詞やについて説明します!
文字だけを見ると、「ん?ナニコレ??」となりますね。笑
これから、分かりやすく説明するので、安心してください。
では、下を見てください。
1. やなしver.
これ わが求むる山ならむ
2. やありver.
これやわが求むる山ならむ
係助詞『や』のない1. やなしver.では、文末がむとなっていますね。
このむは、文の最後(終わり)にあるので、終止形という形です。
一方、係助詞『や』のある2. やありver.でも、文の最後はむとなっています。
いやいやいやいや、両方同じむやん。
と、思った人も多いかと思います。笑
見た目は、同じむでも、違うんです。
これは高校で習う内容なんで、「ふ~ん」くらいに、サラッと読み流してください。
係助詞『や』のない1. やなしver.の文末むは終止形です。
一方で、係助詞『や』のある2. やありver.の文末むは連体形というやつなんです。
まぁ、というわけで…
係助詞やがあることで、文の最後(結び)が終止形以外になる現象を係り結びもしくは係り結びの法則といいます。
係り結びと係り結びの法則、両方を覚えて書けるようにしておいてくださいね。
はいっ!続きに行きましょう!
さすがに恐ろしくおぼえてのさすがにの現代語訳は、そうはいってもやはりで、おぼえての現代語訳は思われてです。
そうはいってもやはり、恐ろしく思われてと、これまたくらもちの皇子が思ったのです。
続けて、山のめぐりをさしめぐらして。
現代語訳はそれぞれ、めぐりは周囲、さしめぐらしてはこぎ回らせてです。
山のめぐりをさしめぐらしての現代語訳は山の周囲をこぎまわらせてです。
くらもちの皇子が山の周囲を船でこぎ回らせたのです。
この場面は、くらもちの皇子が船で、蓬萊の珠の枝のある蓬萊山を目指している場面です。
くらもちの皇子は貴族、身分の高い人なので、自分で船はこぎません。
家来たちに、船をこぎ回らせているのです。
二、三日ばかり、見歩くにの二、三日ばかりは、現代語に訳すと、そのまんま二、三日ばかりです。
見歩くの読み方はみありく、現代語訳は見てまわるです。
もちろん、見てまわったのも、くらもちの皇子です。笑
くらもちの皇子が船に乗って、山の周囲を見てまわったのです。
どんどんいきましょう!
天人のよそほひしたる女のよそほひは、現代仮名遣いに直すと、単語の一番最初にない「はひふへほ」のほとひを、それぞれおといにして、よそおいとなり、現代語訳は服装です。
天人のよそほひしたる女で天人の服装をした女という意味です。
この天人の服装をした女の人が山の中よりいで来て、山の中から出てきて、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩くとあります。
銀の読み方はしろかね、金鋺はかなまると読んで、おちゃわんなどのおわんという意味です。
歩くと書いて、読み方はありくです。
ですので、これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩くを、現代仮名遣いに直すと これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)くとなり、現代語に訳すと くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と思って、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女の人が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていましたとなります。
1文目長っ!!笑
これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
→これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)く。(現代仮名遣い)
→くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と思って、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女の人が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていました。(現代語訳)
気を取り直して、2文目に行きましょう!笑
2文目:これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
これを見てを現代語に訳すと、水をくみ歩いている天人の服装をした女の人をくらもちの皇子が見てとなります。
船より下りての現代語訳は船から降りてで、船から降りたのはくらもちの皇子です。
この山の名を何とか申すのかは、先ほどのやと同様、疑問の係助詞です。
ここで、係助詞かについて説明します!
では、分かりやすく説明するので、下を見てください!笑
1. かなしver.
この山の名を何と 申す
2. かありver.
この山の名を何とか申す
係助詞『か』のない1. かなしver.では、文末が申すとなっていますね。
この申すは、文の最後(終わり)にあるので、終止形という形です。
一方、係助詞『か』のある2. かありver.でも、文の最後は申すとなっています。
いや、両方同じ申すやん。
と、思った人も多いかと思います。笑
さっきも言いましたが…
見た目は、同じ申すでも、違うんです。笑
これも高校で習う内容なんで、「ふ~ん」くらいに、サラッと読み流してください。
係助詞『か』のない1. かなしver.の文末申すは終止形です。
一方で、係助詞『か』のある2. かありver.の文末申すは連体形というやつなんです。
まぁ、というわけで…
係助詞かがあることで、文の最後(結び)が終止形以外になる現象を係り結びもしくは係り結びの法則といいます。
係り結びと係り結びの法則、両方を覚えて書けるようにしておいてください。
この山の名を何とか申すの現代語訳はこの山の名を何というのですかです。
問ふのふは単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『ふ』なので、現代仮名遣いに直すと問ふです。
ですので、これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふを、現代仮名遣いに直すと これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問うとなり、現代語に訳すと くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問うとなります。
これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
→これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問う。(現代仮名遣い)
→くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問う。(現代語訳)
では、3文目!
3文目:女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
女は天人のよそほひしたる女、天人の服装をした女の人のことです。
答へのへは、単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『へ』なので、現代仮名遣いに直すと答えです。
いはくのはは、単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『は』なので、現代仮名遣いに直すといわくです。
これは、蓬萊の山なりの現代語訳はこれは蓬萊の山ですとなります。
答ふのふは単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『ふ』なので、現代仮名遣いに直すと答うです。
ですので、女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふを、現代仮名遣いに直すと 女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答うとなり、現代語に訳すと 女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言ったとなります。
女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
→女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答う。(現代仮名遣い)
→女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言った。(現代語訳)
4文目、今回のラストです!
4文目:これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
これを聞くにのこれは、天人のよそほひしたる女の「これは、蓬萊の山なり。」という言葉です。
「これは、蓬萊の山なり」、「これは蓬萊の山です」という女の人の言葉を聞いたくらもちの皇子は、うれしきことかぎりなし、嬉しくてたまらなかったのです。
蓬萊山にある珠の枝を持って帰れば、かぐや姫と結婚できるわけです。
そのために500日も船に乗って旅をしていたくらもちの皇子ですから、「これは蓬萊の山です」という言葉を聞いたときは、それはそれは嬉しかったことでしょう。
といっても、この話、ぜ~んぶ、くらもちの皇子の作り話、ウソなんですけどね。笑
ですので、これを聞くに、うれしきことかぎりなしを、現代語に訳すと これを聞いて、嬉しくてたまりませんでしたです。
この一文に、現代仮名遣いに直す部分はありません。
これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
→これを聞いて、嬉しくてたまりませんでした。(現代語訳)
いやぁ~、ここまで読んでくれてありがとう!
古文の勉強は、新しい単語や文法や仮名遣いのルールに出会うたびに、一つずつ焦らず覚れば大丈夫!
ボクだって、古文をはじめて勉強したときは、何も知りませんでしたから!笑
下記のまとめの内容を理解できれば、今回の範囲はバッチリです!!
竹取物語 蓬萊の珠の枝 前半 まとめ
現代仮名遣い&現代語訳
これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
→これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)く。(現代仮名遣い)
→くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女の人が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていました。(現代語訳)
これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
→これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問う。(現代仮名遣い)
→くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問う。(現代語訳)
女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
→女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答う。(現代仮名遣い)
→女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言った。(現代語訳)
これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
→これを聞いて、嬉しくてたまりませんでした。(現代語訳)
※現代仮名遣いに直す部分なし
重要古文単語
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルール
係り結び(係り結びの法則)
書籍紹介
ここでは、ボクがこの記事や講義動画などを作成する際に使用した書籍を、指導者の方々向けに紹介します!
生徒のみなさんは、先生やボクの記事、動画の内容を理解してくれれば十分です!
竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典/角川ソフィア文庫
1番オススメの書籍です!
"現代語訳→古文"の順で、一場面ごとに区切られ、竹取物語の全文が掲載されています。
コラムが豊富で、竹取物語に出てくるキーワードの理解が深まりまり、授業の小ネタも激増します!笑
現代語訳がとてもわかりやすいので、他は飛ばして、現代語訳を一気読みするだけで、竹取物語の全貌をイメージできます!
竹取物語の書籍はたくさんありますが、ボクはこの書籍の現代語訳が一番分かりやすかったです。
「竹取物語全体を、短時間で理解したい」という方や、「竹取物語を深く理解したい」という方の最初の1冊に最適です!
マドンナ古文単語230
言わずと知れた、大学受験生のバイブルです!笑
コチラの書籍、単語に対する解説が簡潔でわかりやすいです。
語源や単語の覚え方などにも言及しているので、授業での小ネタ集めに最適です!
大学受験用の書籍ですが、あやし、いとなど、竹取物語に出てくる単語はもちろん、枕草子、徒然草といった中学校の教科書に出てくる単語も掲載されています。
1単語につき。1分程度で読めるボリュームですので、時間に対して得られる生徒ウケ効果は非常に高い1冊です。
新版 竹取物語 現代語訳付き/角川ソフィア文庫
この書籍でも、竹取物語の全文が掲載されいます。
古文全文→現代語訳全文という順番で掲載されており、古文ページの下部には補足が各ページに記載されています。
どちらかと言えば、竹取物語の全文が掲載された教科書に近いです。
ですので、現代語訳も『竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』に比べ、カチッっとしています。
解説のページでは、成立年代や作者、登場人物のモデルとなった実在人物などが考察されています。また、参考文献として、竹取物語に関連・言及する古典の原典が掲載されています。
1冊目というよりも、2冊目以降として「竹取物語をより深く理解したい」方や、訳者による解釈の違いなどを調べたい方向けの書籍です。