竹取物語

竹取物語 蓬萊の玉の枝 本文解説 ~前半~

みなさん、こんにちは!Keisukeです!!
今回は竹取物語 蓬萊の玉の枝についてです!
蓬萊の玉の枝、なかなか長いので、前半と後半の2回に分けて説明しますね!

後半はコチラ!

竹取物語 蓬萊の玉の枝 前編 動画紹介

講義動画もありますので、よかったら活用してください!

本文解説(約21分)

竹取物語 蓬莱の玉の枝 前編 本文解説/Youtube

復習&テスト直前確認用(約12分)

取物語 蓬萊の珠の枝 前編 テスト直前 確認用/Youtube

暗記テスト用(約47分)

竹取物語 暗唱用 蓬萊の玉の枝 前編(原文のみ)30連/Youtube

竹取物語 蓬萊の玉の枝 前編 本文解説

竹取物語原文
 これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。これを聞くに、うれしきことかぎりなし。

では、1文ずつ、順番に見ていきましょう!

1文目:これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。

これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。

1文目、めっちゃ長いんですよ。笑
短く区切って、読んでいきますね!

まずは、これやわが求むる山ならむと思ひて

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルールの6つ目。

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルール6
助詞『む』は、『ん』と読む

歴史的仮名遣いこれやわが求むる山ならむは、助詞の『む』です。

ですので、このを現代仮名遣いに直すときは、これやわが求むる山ならんのようにとします。


続けて、と思ひて思ひては、現代仮名遣いに直すとどうなるか覚えていますか?

竹取物語の冒頭で、 単語の最初にない『はひふへほ』は、『わいうえお』と読む というルールを学びましたね!

なので、現代仮名遣いに直すと、思ひては、に直して思いてです。

思ひての現代語訳は、ほぼそのまんま、思ってです。


誰が何と思ったのかというと、くらもちの皇子これやわが求むる山ならむこれが私の探している山だろうかと思ったのです。


では、これやわが求むる山ならむについて説明します。

は、助詞のなかでも係助詞というやつです。

とりあえず、「係助詞なんや」と覚えてください。笑

助詞については、今は知らなくて大丈夫です。

『現代語の助詞』は中学校3年生で、『古文の助詞』は高校でたっぷり勉強しますので、安心してください!笑

ここで、係助詞について説明します!

係助詞『や』
は、疑問を表す係助詞。文中に係助詞があると、文の結び(最後)が、終止形以外の形になることがある。これを係り結びもしくは係り結びの法則という。

文字だけを見ると、「ん?ナニコレ??」となりますね。笑

これから、分かりやすく説明するので、安心してください。

では、下を見てください。

1. なしver.
 これ わが求むる山なら
2. ありver.
 これわが求むる山なら

係助詞『や』のない1. なしver.では、文末がとなっていますね。

このは、文の最後(終わり)にあるので、終止形という形です。

一方、係助詞『や』のある2. ありver.でも、文の最後はとなっています。


いやいやいやいや、両方同じやん。


と、思った人も多いかと思います。笑

見た目は、同じでも、違うんです。

これは高校で習う内容なんで、「ふ~ん」くらいに、サラッと読み流してください。

係助詞『や』のない1. なしver.の文末終止形です。

一方で、係助詞『や』のある2. ありver.の文末連体形というやつなんです。


まぁ、というわけで…

係助詞があることで、文の最後(結び)が終止形以外になる現象を係り結びもしくは係り結びの法則といいます。

係り結び係り結びの法則、両方を覚えて書けるようにしておいてくださいね。


はいっ!続きに行きましょう!

さすがに恐ろしくおぼえてさすがにの現代語訳は、そうはいってもやはりで、おぼえての現代語訳は思われてです。

そうはいってもやはり、恐ろしく思われてと、これまたくらもちの皇子が思ったのです。

重要古文単語11
さすがに:そうはいってもやはり

重要古文単語12
おぼえて:思われて


続けて、山のめぐりをさしめぐらして

現代語訳はそれぞれ、めぐり周囲さしめぐらしてこぎ回らせてです。

重要古文単語13
めぐり:周囲

重要古文単語14
さしめぐらして:こぎ回らせて


山のめぐりをさしめぐらしての現代語訳は山の周囲をこぎまわらせてです。

くらもちの皇子山の周囲を船でこぎ回らせたのです。

この場面は、くらもちの皇子が船で、蓬萊の珠の枝のある蓬萊山を目指している場面です。
くらもちの皇子は貴族、身分の高い人なので、自分で船はこぎません。
家来たちに、船をこぎ回らせているのです。


二、三日ばかり、見歩くに二、三日ばかりは、現代語に訳すと、そのまんま二、三日ばかりです。

見歩くの読み方はみありく、現代語訳は見てまわるです。

重要古文単語15
見歩くみありく):見てまわる

もちろん、見てまわったのも、くらもちの皇子です。笑

くらもちの皇子が船に乗って、山の周囲を見てまわったのです。


どんどんいきましょう!

天人のよそほひしたる女よそほひは、現代仮名遣いに直すと、単語の一番最初にない「はひふへほ」を、それぞれにして、よそおいとなり、現代語訳は服装です。

重要古文単語16
よそほひ:服装


天人のよそほひしたる女天人の服装をした女という意味です。

この天人の服装をした女の人山の中よりいで来て山の中から出てきて銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩くとあります。


の読み方はしろかね金鋺かなまると読んで、おちゃわんなどのおわんという意味です。

重要古文単語17
金鋺かなまる):おわん


歩くと書いて、読み方はありくです。


ですので、これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩くを、現代仮名遣いに直すと これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)くとなり、現代語に訳すと くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と思って、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女の人が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていましたとなります。

1文目長っ!!笑

これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)く。現代仮名遣い
くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と思って、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていました。現代語訳

気を取り直して、2文目に行きましょう!笑

2文目:これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。

これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。

これを見てを現代語に訳すと、水をくみ歩いている天人の服装をした女の人をくらもちの皇子が見てとなります。


船より下りての現代語訳は船から降りてで、船から降りたのはくらもちの皇子です。


この山の名を何とか申すは、先ほどのと同様、疑問の係助詞です。

ここで、係助詞について説明します!

係助詞『か』
は、疑問を表す係助詞。文中に係助詞があると、文の結び(最後)が、終止形以外の形になることがある。これを係り結びもしくは係り結びの法則という。


では、分かりやすく説明するので、下を見てください!笑

1. なしver.
 この山の名を何と 申す
2. ありver.
 この山の名を何と申す

係助詞『か』のない1. なしver.では、文末が申すとなっていますね。

この申すは、文の最後(終わり)にあるので、終止形という形です。

一方、係助詞『か』のある2. ありver.でも、文の最後は申すとなっています。


いや、両方同じ申すやん。


と、思った人も多いかと思います。笑

さっきも言いましたが…

見た目は、同じ申すでも、違うんです。笑

これも高校で習う内容なんで、「ふ~ん」くらいに、サラッと読み流してください。

係助詞『か』のない1. なしver.の文末申す終止形です。

一方で、係助詞『か』のある2. ありver.の文末申す連体形というやつなんです。

まぁ、というわけで…

係助詞があることで、文の最後(結び)が終止形以外になる現象を係り結びもしくは係り結びの法則といいます。

係り結び係り結びの法則、両方を覚えて書けるようにしておいてください。


この山の名を何とか申すの現代語訳はこの山の名を何というのですかです。


問ふは単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『ふ』なので、現代仮名遣いに直すと問ふです。


ですので、これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふを、現代仮名遣いに直すと これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問うとなり、現代語に訳すと くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問うとなります。

これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問う。現代仮名遣い
くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問う現代語訳

では、3文目!

3文目:女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。

女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。

天人のよそほひしたる女天人の服装をした女の人のことです。


答へは、単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『へ』なので、現代仮名遣いに直すと答えです。


いはくは、単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『は』なので、現代仮名遣いに直すといわくです。


これは、蓬萊の山なりの現代語訳はこれは蓬萊の山ですとなります。


答ふは単語の2文字目、単語の最初にない『はひふへほ』の『ふ』なので、現代仮名遣いに直すと答うです。


ですので、女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふを、現代仮名遣いに直すと 女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答うとなり、現代語に訳すと 女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言ったとなります。

女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答う。現代仮名遣い
女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言った。現代語訳

4文目、今回のラストです!

4文目:これを聞くに、うれしきことかぎりなし。

これを聞くに、うれしきことかぎりなし。

これを聞くにこれは、天人のよそほひしたる女「これは、蓬萊の山なり。」という言葉です。

「これは、蓬萊の山なり」「これは蓬萊の山です」という女の人の言葉を聞いたくらもちの皇子は、うれしきことかぎりなし嬉しくてたまらなかったのです。

蓬萊山にある珠の枝を持って帰れば、かぐや姫と結婚できるわけです。
そのために500日も船に乗って旅をしていたくらもちの皇子ですから、「これは蓬萊の山です」という言葉を聞いたときは、それはそれは嬉しかったことでしょう。
といっても、この話、ぜ~んぶ、くらもちの皇子の作り話、ウソなんですけどね。笑


ですので、これを聞くに、うれしきことかぎりなしを、現代語に訳すと これを聞いて、嬉しくてたまりませんでしたです。

この一文に、現代仮名遣いに直す部分ありません

これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
これを聞いて、嬉しくてたまりませんでした。現代語訳

いやぁ~、ここまで読んでくれてありがとう!
古文の勉強は、新しい単語や文法や仮名遣いのルールに出会うたびに、一つずつ焦らず覚れば大丈夫
ボクだって、古文をはじめて勉強したときは、何も知りませんでしたから!笑
下記のまとめの内容を理解できれば、今回の範囲はバッチリです!!

後半はコチラ!

竹取物語 蓬萊の珠の枝 前半 まとめ

現代仮名遣い&現代語訳

これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、水をくみ歩く。
これやわが求むる山ならんと思いて、さすがに恐ろしく覚えて、山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり見歩(みあり)くに、天人のよそおいしたる女、山の中よりいで来て、銀(しろかね)の金鋺(かなまる)を持ちて、水をくみ歩(あり)く。現代仮名遣い
くらもちの皇子が「これが私の探している山だろうか」と、そうはいってもやはり、恐ろしく思われて、山の周囲をこぎ回らせて、二、三日ばかり見て回ると、天人の服装をした女が、山の中から出てきて、銀色のおわんを持って、水をくみ歩いていました。現代語訳

これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問ふ。
これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」と問う。現代仮名遣い
くらもちの皇子がこれを見て、船から降りて、天人の服装をした女の人に「この山の名を何というのですか」と問う現代語訳

女、答へていはく、「これは、蓬萊の山なり。」と答ふ。
女、答えていわく、「これは、蓬萊の山なり。」と答う。現代仮名遣い
女が答えて、「これは蓬萊の山です」と言った。現代語訳

これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
これを聞いて、嬉しくてたまりませんでした。現代語訳
現代仮名遣いに直す部分なし

重要古文単語

重要古文単語11
さすがに:そうはいってもやはり

重要古文単語12
おぼえて:思われて

重要古文単語13
めぐり:周囲

重要古文単語14
さしめぐらして:こぎ回らせて

重要古文単語15
見歩くみありく):見てまわる

重要古文単語16
よそほひ:服装

重要古文単語17
金鋺かなまる):おわん

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルール

歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すルール6
助詞『む』は『ん』と読む

係り結び(係り結びの法則)

係助詞『や』
は、疑問を表す係助詞。文中に係助詞があると、文の結び(最後)が、終止形以外の形になることがある。これを係り結びもしくは係り結びの法則という。

係助詞『か』
は、疑問を表す係助詞。文中に係助詞があると、文の結び(最後)が、終止形以外の形になることがある。これを係り結びもしくは係り結びの法則という。

後半はコチラ!

書籍紹介

ここでは、ボクがこの記事や講義動画などを作成する際に使用した書籍を、指導者の方々向けに紹介します!
生徒のみなさんは、先生やボクの記事、動画の内容を理解してくれれば十分です!

竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典/角川ソフィア文庫

1番オススメの書籍です!
"現代語訳→古文"の順で、一場面ごとに区切られ、竹取物語の全文が掲載されています。
コラムが豊富で、竹取物語に出てくるキーワードの理解が深まりまり、授業の小ネタも激増します!笑
現代語訳がとてもわかりやすいので、他は飛ばして、現代語訳を一気読みするだけで、竹取物語の全貌をイメージできます!
竹取物語の書籍はたくさんありますが、ボクはこの書籍の現代語訳が一番分かりやすかったです。
「竹取物語全体を、短時間で理解したい」という方や、「竹取物語を深く理解したい」という方の最初の1冊に最適です!

マドンナ古文単語230

言わずと知れた、大学受験生のバイブルです!笑
コチラの書籍、単語に対する解説が簡潔でわかりやすいです。
語源や単語の覚え方などにも言及しているので、授業での小ネタ集めに最適です!
大学受験用の書籍ですが、あやしいとなど、竹取物語に出てくる単語はもちろん、枕草子徒然草といった中学校の教科書に出てくる単語も掲載されています。
1単語につき。1分程度で読めるボリュームですので、時間に対して得られる生徒ウケ効果は非常に高い1冊です。

新版 竹取物語 現代語訳付き/角川ソフィア文庫

この書籍でも、竹取物語の全文が掲載されいます。
古文全文→現代語訳全文という順番で掲載されており、古文ページの下部には補足が各ページに記載されています。
どちらかと言えば、竹取物語の全文が掲載された教科書に近いです。
ですので、現代語訳も『竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』に比べ、カチッっとしています。
解説のページでは、成立年代や作者、登場人物のモデルとなった実在人物などが考察されています。また、参考文献として、竹取物語に関連・言及する古典の原典が掲載されています。
1冊目というよりも、2冊目以降として「竹取物語をより深く理解したい」方や、訳者による解釈の違いなどを調べたい方向けの書籍です。

後半はコチラ!

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