イッツ マイライフ

第4話 ノック・オン・ザ・ロード

前回のお話はコチラ!




ボクの実家のすぐ近くに、中学校があって、その前には大きな壁があります。


そこでボールの壁当てをするのが、ボクの楽しみでした。


壁当てといっても、ボールを壁へ投げて、壁から跳ね返ってきたボールを掴むというだけです。




「九回裏ツーアウト、ランナーなし、1-0で平安高校リード。最後のバッターへ向けて、平安高校エースの源田、第3球投げた。バッター打って、打球はショートへ。ショートしっかりとボールを掴み、一塁へ送球。スリーアウト!試合終了!」



といった感じで、甲子園をイメージして、自分で実況中継してました。笑




小学校5年生のある日、ボクがいつものように、壁当てをしていると、中学校の中から、見たこともない、黒服のおじいちゃんが現れました。




「おっちゃんがノックしたるわ!」




そう言って、容赦なく、その場で出会った、見知らぬおじいちゃんpresentsのノックがはじまりました。



それも、コンクリートの上、公道の上で。笑



ノック・オン・ザ・ロードです。笑




ちなみに、野球でいう“ノック”というのは、“バッターが打ったボールを掴む練習”のことで、通常は公道ではなく、土のグラウンドで行われます。



ここでは、“ボールを打つ人=見知らぬおじいちゃん”で、“ボールを掴む人=ボク”です。




しばらくすると、




「よし!今度は、硬式で行くぞ!!しっかりとボールを見れば大丈夫や!!!」




と、耳を疑うような声が聞こえました。




それまでのノックは、軟式ボールでした。



軟式ボールとは“ゴム製”なのですが、硬式ボールは“ゴムの芯”に糸を何重にも巻き付けて作られており、石のように固いのです。




この見知らぬおじいちゃんは、石のように固い“硬式ボール”でノックをすると言い出したのです。




公道のコンクリートの上で。笑




ボクにとって、硬式ボールのノックをコンクリートの上で受けるという、このうえない恐怖体験をしたのち、


「よう頑張ったな!おっちゃんは、“蛭子屋(えびすや)”っていうねん。この中学校の警備員してるねん。また、ノックしたるわ!」


と、蛭子屋さんは中学校へ戻っていきました。




これが、蛭子屋さんとボクの初めての出会いでした。






つづく

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