ジャラジャラ、ジャラジャラ…、
まるでクリスマスベルのように、小銭の音がボクのポケットから響き渡ります。
所持金:残り150円(100円玉1枚、50円玉1枚)
2時間30分走り続けるだけでも、ボクの自己ベストですが、自宅まではまだ10km以上の距離があります。笑
とりあえず、大和川を渡れば、これまでの経験上、家までは残り1時間ほどで辿り着けます。
なので、ボクは大和川を渡り終えたところで、再び水分補給をすることを楽しみに走り続けました。
ジャラジャラ、ジャラジャラ…。
ジャラジャラ、ジャラジャラ…。
1時間後。
お気に入りの音楽を聴き続けながら、大和川を渡り終えたボクは、ランニングハイ状態でした。笑
近くで見つけたコンビニも、「今のテンションやったら、まだいけるわ」と、寄らずに通り過ぎ、小道を走り続けていると…、
チャリン、チャリン、チャリーン♪
カラカラカラカラ♪
軽快な金属音とともに、硬貨が転がっていく音が聞こえてきました。
もうボクのポケットから、クリスマスベル、いや、小銭の音は聞こえません。
「えっ!?ウソやろ!?」
時刻は20時30分を過ぎた頃だったので、当たりは真っ暗で街灯の灯りしかなかったうえに、ボクはイヤホンをつけて音楽を聴いていたので、漠然と硬貨の転がって行った方向しか分からず、この暗闇の中から転がって行った硬貨を見つけ出すのは不可能でした。
「ウソやん。これ、100円玉転がって行ってたら最悪やん。えっ!?いや、100円玉、50円玉、2枚とも転がってるパターンもあるよな」
と、慌ててポケットを確認すると、硬貨が1枚だけ残っていました。
「頼む。頼むから、100円玉残っててくれ!!!」
手の感触で確認すると、硬貨には50円玉にあるような穴はありません。
「頼む!100円玉よ!!残っててくれ!!!」
ポケットから取り出し、ボクの右手にあった硬貨は、100円玉でした!!
「うおぉぉぉお!よかったぁぁぁぁあ!!!」
何とも、不幸中の幸いで、ボクのポケットから躍り出て行ったのは、50円玉でした。
所持金:残り100円(100円玉1枚)
つづく