そして、いつものようにピッチング練習をしていた、大学3回生のある日。
突然、自分の投げたボールに、リーグ戦で活躍するピッチャーの球筋が重なって見えました。
その瞬間、「自分が投げるボールと、リーグ戦で活躍するようなピッチャーが投げる球は全然違う。自分はプロになられへん」と思いました。
それと同時に、“プツン”と、心の糸が切れた音がしました。
これまでも、「自分はプロになれないのではないか」と、弱気になることもありました。
そのたびに、「そんなことはない。練習したら絶対にいける」と、自分を奮い立たせることができました。
でも、このときは、これまでとは全く違いました。
自分を奮い立たせる気力すら湧いてきません。
19歳から約3年間、自分なりに、浪人生活ではジムに通い、大学入学してからも、自分が一番練習したと思えるくらい、野球と向き合ってきました。
しかし、練習すればするほど、レギュラー陣との実力差を感じるようになり、ついに「自分には才能がないんやな」ということが腑に落ち、納得してしまいました。
これまで拒み続けたものを受け入れざるをえなくなった瞬間でした。
ボクは完全に挫折しました。
つづく