第31話 野球人生の祝福

開演時刻になると、ドーム内が暗くなり、メインステージに人影が現れました。

観客の歓声とともに、ミスチルのライブが始まりました。

生で聴く、桜井さん（ミスチルのボーカル）の歌声は、ボクがウォークマンで聴いていたものと、全く同じでした。

「うわぁ～。今、ホンマに、ミスチルのライブにおるんや…」と、ボクは夢心地でした。

ボクの席から、花道を通る桜井さんがよく見えました。

あまりの近さに感激するとともに、歌っている桜井さんを見て、桜井さんもボクと同じ人間なんやと思いました。笑

ライブの時間はあっという間に過ぎていきました。

「『終わりなき旅』歌ってくれるかなぁ…」という期待を胸に、ライブに聴き入っていると…

ジャン、ジャン、ジャン♪

あの聴き慣れた、『終わりなき旅』の前奏が流れてきました。

もう、本当に感激です。

ステージ中央で、ブルーのジャケットを着て、ギターを弾きながら『終わりなき旅』を歌う桜井さんの姿に、ボクは釘付けになりました。

下手クソ過ぎるボクは、大学の野球部で公式戦に出場したことはないですし、練習を含めてよい成績を残せたこともほとんどありません。

うまくいかないことがほぼ100%のなか、自分を励ます時にいつも聴いていたのが、この『終わりなき旅』でした。

その曲を、今ボクの目の前で、桜井さんが生で歌ってくれているのです。

それはまるで、ボクの野球人生を、「最後まで、よくやり切ったな」と、祝福してくれているようでした。

感無量でした。

感激しすぎて、『終わりなき旅』の次の曲は、全く頭に入ってきませんでした。笑

ライブの翌日。

ボクは、下宿先の庭で、「いやぁ〜、昨日のライブはスゴかったなぁ〜」と、ボクは余韻に浸っていました。笑

そして、この冬。

ボクは、桜井さんに憧れて、ブルーのジャケットを購入しました。笑

つづく